今回は蓄冷剤(保冷剤)の選び方と効果的な使い方や注意点などについてご紹介致します。
蓄冷剤という言い方はあまり一般的ではないかもしれませんが、業務用で低温物流に使われる保冷剤は蓄冷剤と呼ばれています。厳密な定義などはないとは思いますが保冷剤と蓄冷剤は同じものという理解でいいと思います。
一般的な保冷剤は、持ち帰り用のお土産についてきたり、キャンプなどをする際に使うもので基本的には0℃以上の冷蔵で使われるものを指していることが多いと思います。
一方、蓄冷剤は、0℃以下の氷点下を維持するために使われる、より専門的な保冷剤と見ることもできるかと思います。
①蓄冷剤の種類
蓄冷剤(保冷剤)はナイロンや不織布フィルムに封入されたソフトタイプと、ブロー成型容器を使ったハードタイプの2種類に大別されます。内容物の成分は基本的にはほとんど水です。
ソフトタイプはお土産やケーキなどの持ち帰りなど、ワンウェイで使われることが多く安価ではありますが、繰り返し使用するには耐久性に難があります。ただ、薄いフィルムに封入されているため柔らかくフレキシブルに動くため医療用に患部を冷やすのに使われたり、猛暑対策品として使われたりもしています。こちらのことを保冷剤と呼ぶことが多いかと思います。
ハードタイプは繰り返し利用することを前提に耐久性があるプラスチック容器に封入されており、積み重ねや凍結時間短縮のため突起や穴が空いていたりします。耐久性がある分、形状を変えることは出来ません。こちらのタイプを蓄冷剤と呼ぶことが多いです。
②蓄冷剤の温度帯による違い
蓄冷剤の内容物は、基本的には水と添加剤から成っています。各メーカーによって違いますが、0℃、-16℃、-21℃、-25℃など様々な融点の蓄冷剤が販売されています。
水の融点は0℃ですが、そこに添加剤を加えることで融点を変化させています。
水は固体から液体に相転移する際に熱の吸収が起こります。融点以外では熱量は温度上昇に使われますが、融点では相が変化するのに熱量が使われるため融点付近で温度が維持されます。
これを利用して目的の温度を維持するために、さまざまな融点の蓄冷剤が使われています。
0℃グレードの蓄冷剤は10℃以下の冷蔵で商品を運ぶ際に使われることが多いです。肉・魚・野菜などの生鮮食品や、ワクチンや検体など5℃前後の輸送でも使われています。
-18℃以下での輸送が必要な冷凍品は-25℃や-21℃グレードの蓄冷剤が使われます。アイスクリームや冷凍食品、低温管理が必要な医薬品や化学物質などの温度管理に使われています。
↓弊社取扱い蓄冷剤、詳細や価格などは別途お問い合わせください。
③蓄冷剤の準備
蓄冷剤の効果を最大限に発揮させるためには、蓄冷剤を冷凍庫で完全に凍結させる必要があります。
蓄冷剤の凍結に必要な冷凍庫の温度は、「蓄冷剤の温度帯-10℃」以下となります。
例:0℃グレード・・・0-10≒-10℃以下 -25℃グレード・・・-25-10≒-35℃以下
一般的な家庭用冷蔵庫では-20℃程度までしか冷やすことが出来ないため、-16℃グレード以下の蓄冷剤を完全に凍結させることは難しくなります。
-16℃以下の蓄冷剤を素早く凍結させるためには、急速凍結庫が必要です。急速凍結庫は-30~40℃の冷気を吹き付けて素早く蓄冷剤などを凍結させ、保管しておくことが可能です。
④蓄冷剤の使い方
蓄冷剤はドライアイスなどと違い、蓄冷剤周囲の熱を吸収するというイメージでお使い頂くのがいいかと思います。ドライアイスは気化することで冷気を出すので空間を冷やすことが出来ますが、蓄冷剤は冷やし込む力はそこまで強くありません。
よって冷凍品などは特に商品に直接接触するような形で蓄冷剤を設置するのが効果的です。また固めて置くよりも各面に設置することで全体をカバーすることが出来ます。
ただし冷蔵品の葉物野菜などは、蓄冷剤と接触していると低温焼けを起こしてしまうため直接触れないようにすることが必要です。
↓弊社試験設備の急速凍結庫
⑤保冷ボックスとの併用
蓄冷剤だけでは、商品の保冷は出来ませんし、保冷ボックスだけでもまたしかりです。保冷ボックスと蓄冷剤を併用することで初めて温度管理が可能になります。
運用状況に合わせて、必要な保冷ボックスのスペックや蓄冷剤量を試算することが可能です。
「外気温、維持したい温度、時間、商品量や商品の内容」これらが分かれば必要な蓄冷剤と保冷ボックスをセットでご提案をすることが出来ます。
また恒温槽設備もございますので、実際の状況に合わせた温度テストをして運用に問題ないかも確認することが出来ます。お気軽にお問い合わせを頂ければ幸いです。
蓄冷剤や凍結庫など、保冷ボックス以外も併せてご提供できますので、ぜひお声がけください!