今回は業務用保冷ボックスの選び方、考え方についてご紹介致します。
「保冷ボックスを導入したいけど、何を買えばいいかわからない」 「どういう基準で比較すればいいのか、わからない」
そんな方に向けて、押えておくべきポイントをご紹介したいと思います。
①なぜ保冷ボックスが必要なのか
2021年6月から食品を扱う事業者に対して、HACCPによる衛生管理が義務化され、食品の輸送や貯蔵中の温度・時間を管理することが求められています。
HACCP自体はご存知の通り、食品の安全性を担保するための手法で、消費者に安全な商品を届けるためのものです。
食品だけではありませんが、保冷ボックスを使った温度管理も商品の品質を保ち、安全安心なものを届けるために導入をされるものです。
そこにプラスして運用上のメリットや作業者のハンドリングを考慮したボックスを導入することが出来れば、コストメリットも出していける可能性があります。
外気温の変化による影響を抑えることが出来るので、停電などの万が一のアクシデントがあった場合でも、一時的にではありますが製品をロスすることなく品質を維持することが出来ます。
②一般的な保冷ボックスと業務用保冷ボックスの違い
一般的な保冷ボックスは、エコバッグやお弁当用の保冷バッグ、発泡スチロールやキャンプ用のクーラーボックスなどが様々あると思います。
これらの製品も確かに保冷力はあるのですが、気密性が弱かったり、断熱材が薄かったりなど厳密な温度管理のために使われるわけではないので、なんとなく冷えている、なんとなく凍っているというレベルでの管理となってしまいます。
一方、業務用保冷ボックスは使用される状況に合わせて設計していきますので、何時間・何℃でという保冷・保温性能を満たすように作ります。用途に合わせてサイズ、外装生地、断熱材の種類・厚さ、構造などを変え、最適なものを作っていきます。
また一般的なクーラーボックスには無いような大型の保冷ボックスや、車両の荷室サイズに合わせた特大のもの、検体や医薬品などを輸送するような小型のものまで、オーダーメイドならではの保冷ボックスを作ることが可能です。
③業務用保冷ボックスの種類
業務用保冷ボックスは大別すると2種類に分けられます。
ソフトタイプは、断熱材に薄く柔軟な発泡ポリエチレンシートを使うタイプになります。比較すると軽量で持ち運びやすく、折りたたんだときに非常にコンパクトになります。
その分、断熱性能はハードタイプよりも低くなりますが比較的短時間の輸送であれば、ソフトタイプで十分なケースがよくあります。またコスト的にもソフトタイプの方が安価に仕上げることが可能です。
ハードタイプは、硬質な厚い断熱ボードを使うタイプです。断熱性能(保冷力)はソフトタイプよりも上で、ボックスとしての強度も高くなります。冷凍品など、より条件が厳しい環境下での使用を想定しています。
コストはソフトタイプよりも高くなりますが、より信頼性が増します。
④折畳式と固定式
ソフトタイプは柔軟な断熱材を使っているので折りたたみが可能ですが、ハードタイプは硬質な断熱材を使用しているためソフトタイプのようには畳めません。
折畳みする場合には、↓動画のような構造にして畳めるように作ります。折畳みが出来るので保管時や使い終わったあとの荷室内のスペースを節約することが可能です。但し構造上、可動部の断熱ボードを幾分小さくしてスムーズに動かせるようにしているため、保冷性能は固定式の方が高くなります。
コストで考えると折畳式の方が、加工費や材料費はかかりますが出荷時の運賃は安く済みますので、固定式とほぼ同等な価格になることが多いです。
⑤必要な保冷性能の設定
必要な保冷性能の決定には、実際に保冷ボックスを使って保冷保温する状況を想定する必要があります。
- ・外気温は何度か
- ・何℃~何℃に維持したいのか
- ・維持したいのは何時間なのか
- ・ボックスに入れる商品のサイズ、個数
- ・商品の初期温度や保冷ボックスの予冷が可能かどうか …etc
これらの条件をもとに、保冷ボックスの仕様や必要な蓄冷剤の量を決定していきます。まずは机上計算で必要なスペックを推定し、必要があればボックスを試作しフィールドテストや恒温槽での温度試験を行い問題がないかを確認します。
外気温と保冷したい温度の差が大きく保冷時間が長いほど、より高い断熱性能や蓄冷剤数量が必要になっていきます。
別記事でご紹介しようと思いますが、選択する断熱材の種類や厚み、ボックス構造を変えることで長時間の冷凍輸送なども可能になります。
⑥運用効率やコスト削減
保冷ボックスを導入するにあたり、温度管理をより厳密に行うことが出来るようになるのは当然として、運用効率を上げたり、ランニングコストを削減したりというのが必要になってくるかと思います。
- ・荷室サイズに合わせてボックスサイズを変更することで、積載効率を上げ輸送コストを下げる。
- ・折畳みや組立てを素早く出来るような構造にすることで時短をし、人件費を削減。
- ・ドライアイスの使用量をボックス性能を上げることで削減し、コストを下げる。
- ・ボックスサイズを小さくすることで作業者の負担を減らす。 …etc
保冷ボックスを導入することで、どんな効果が期待できるのかを想定しておくことで、どういったものが欲しいのかというのが見えてくるのではないでしょうか。
⑦最後に
業務用保冷ボックスは、縫製品であるためサンプル作製にかかる初期費用を数万円程度に抑えることが出来ます。また仕様の修正というのもロット毎に行えるため、使って頂いていく中で、より良いものにしていくことが出来ます。
成型品にはない小回りが利くこのメリットを生かして、業務フローを改善する策の一つとして、保冷ボックスを考えてみてはいかがでしょうか。
ご不明な点等ございましたら、お気軽お問い合わせ頂ければ幸いです。
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➡見積りシミュレーションする
より詳しくオーダーメイドに関してご紹介したページを更新しましたので、そちらもご覧頂ければ幸いです。